【2018.12.10放送】『ヘレディタリー/継承』をもっと楽しむための課題映画6選!

【2018.12.10放送】『ヘレディタリー/継承』をもっと楽しむための課題映画6選!

宇多丸:
先週金曜日のムービーウォッチメンで扱いました、ホラー映画であり、崩壊していく暗黒家族ドラマでもある、『ヘレディタリー/継承』をもっと楽しむための作品をご紹介いたします。

ということで、『ヘレディタリー/継承』ね。私も評でネタバレせずにやるのは大変苦労した作品でして。まあとにかく恐ろしいという…ただのホラー映画で「わー怖かった!びっくりした!」っていうことじゃなくて、本当に後を引く怖さであり、ヤダ味であり、という作品でございまして。なのでその、できるだけ重要なところは触れずにやりつつ、この映画の本質というか、映画史的にこういうあたりの位置づけですよ、というのをやってみた評だったんですけども。

その中で出てきたあたりで言うと、この『ヘレディタリー/継承』という作品、さっきも言いましたけど、まあダークなホームドラマなんですね。ホラー映画である以前に。で、家族という地獄、血族という呪い、あるいは家庭という逃げ場のない牢獄。こういうものが描かれた重たいホームドラマ、後味の悪い系のホームドラマの系譜っていうのが古今東西いっぱいあって。たとえば近年では、というところで、これは評の中でも挙げました。日本映画、2016年の『葛城事件』。これはもう、僕がこの映画を観た時に思ったのも、ああこれは「家族という名の地獄」だなと。そういうものを描いた作品ですね。

その『葛城事件』であるとか、あとは2017年のロシア映画『ラブレス』。こういうものも挙げさせていただきました。アンドレイ・ズビャギンツェフさんという方の作品なんですけど、劇中で…今回の『ヘレディタリー/継承』でも、やっぱり家族の中である大事件が起きて、その廊下越しに親の「ウワーッ!」ってなっているのを子供が聞いてしまう、っていう、そういう地獄。『ラブレス』の予告とかでも非常に印象的に使われていました。親が「ウワーッ!」って言い合いをしているんですけど、そこでカメラがグーッと移動していくと…子供がどういう風な状況でそれを聞いているのか? これこそがこの世の地獄、っていう場面が出てきたりしますね。

あとは、今回の『ヘレディタリー/継承』の監督。新人のアリ・アスターさん。ベルイマンのホームドラマとか、そういうのも非常に参考にしてるんじゃないかな?なんてことも言いましたけど。たとえばですね、この『ヘレディタリー/継承』に出てくるお母さんが、ミニチュアのドールハウスを作ってるアーティストなんですけど。その設定の感じっていうのが、これは映画評論家の町山智浩さんに指摘されて、「ああ、そういえばそうですね」って気づいたあたりなんですけど。ウディ・アレンが完全にベルイマンにオマージュを捧げた『インテリア』という1978年の作品があって。この『インテリア』、お母さんがやっぱりすごい著名なインテリアデザイナーで、家の中も本当にショウルームのようにきれいに作られたインテリア。その中で家族が静かに崩壊していき、お母さんも壊れていく、というようなあたりで、まあ『インテリア』を通じたベルイマン感もあったりするかな、なんて思ったりもします。

あとはまあ、ホラー映画の系譜で言いますと、これは大丈夫と思うんですけどね。『ローズマリーの赤ちゃん』。ロマン・ポランスキーの1968年のホラー映画クラシック。そして、1973年。やはり、これでしょう。『エクソシスト』。『ローズマリーの赤ちゃん』『エクソシスト』、この2本はやっぱり挙げる方が多いんじゃないかなと思います。そして、この『ヘレディタリー/継承』という作品は、その『エクソシスト』の「その先」に突き進んでいくクライマックス。これもすごいんですけどね。

以上、今日具体的に名前を挙げるのは、『葛城事件』『ラブレス』『インテリア』『ローズマリーの赤ちゃん』『エクソシスト』。これはいずれもU-NEXTに入っておりますので、ここまでにしておきますが…評の中で、私が「このタイトルを言うだけで『ヘレディタリー/継承』の重要な場面のネタバレになってしまうので、これだけは言いませんが、非常に有名な、ホラー映画の古典と言われている作品『ホニャラのホニャラララ』のオマージュがあります」って言ったんですね。『ホニャラのホニャラララ』です、っていうことを言いました。

で、これ、『ホニャラのホニャラララ』っていうのは、『ホニャラホニャララ・ホニャラララ』の中の『ホニャラのホニャラララ』なんですよ。これ、もう言うだけでバレちゃうから。で、しかもみなさん、お喜びください!これもU-NEXTに入っております!ただ、勘のいい人は、これでもわかっちゃうんですよ。「『ホニャラホニャララ・ホニャラララ』の『ホニャラのホニャラララ』が元ネタだ」って言えば、ホラー映画史に詳しい人だったら、いまの「『ホニャラホニャララ・ホニャラララ』の…」の「の」でもうわかっちゃう。「っていうことは、その映画っていうのはこういう構造の映画なんだから。その『ホニャラのホニャラララ』で、ホラー映画の歴史上に残るっていえば、あれしかないでしょ?」っていうことなんですよ。だからぜひね、U-NEXTでね、この『ホニャラホニャララ・ホニャラララ』を(笑)。

熊崎風斗アナ:
フハハハハハハハ!

宇多丸:
ちなみに『ホニャラのホニャラララ』はホラー映画史上、引用している作品も非常に多い作品なので、できれば『ヘレディタリー/継承』を観た後に観ると参考になると思うんですよね。ただ、それがね、言えないんだよ。言うだけでバレちゃうんだもん!というわけで、次回のムービーウォッチメン、課題作は中島哲也監督『来る』です!

■宇多丸推薦! 『へレディタリー/継承』の次にU-NEXTで観るべき映画
  • 『葛城事件』赤堀雅秋監督/2016年
  • 『ラブレス』アンドレイ・ズビャギンツェフ監督/2017年
  • 『インテリア』ウディ・アレン監督/1978年
  • 『ローズマリーの赤ちゃん』ロマン・ポランスキー監督/1968年
  • 『エクソシスト』リドリー・スコット監督/1973年
  • 『ホニャラのホニャラララ』???監督/???年(※ネタバレ注意!スクロールするとリンクがあります。) 
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