【2018.12.3放送】『ボヘミアン・ラプソディ』をもっと楽しむための課題映画3選!

【2018.12.3放送】『ボヘミアン・ラプソディ』をもっと楽しむための課題映画3選!

宇多丸:
先週金曜日のムービーウォッチメンで扱った、バンド・クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』をもっと楽しむための作品を、いくつかご紹介したいと思います。

どれにしようかな?って思っていて、まずはこれがボンと来たので。僕、今回評論する前にこれ、実際に観ました。クイーンのドキュメンタリーがございます。『クイーン ヒストリー 1973-1980』という、2005年にアメリカで作られたドキュメンタリーがあるので。まずはこれなんかをご覧になってはいかがでしょうか? 1980年までなんで、ちょうど『地獄へ道づれ(Another One Bites the Dust)』。あれが出たぐらいですけども。

まあ、だから映画の前半部というか、そのぐらいの時代までのやつが実際の映像で観れる、というあたり。たとえばはじめてテレビ番組に出て、みたいなくだりとか。あとは結成まわりのくだりとかはかなり映画は脚色していまして。実際はクイーンの前身になった「スマイル」っていうバンドに、映画ではフレディがバンドのファンでたまたま知り合った、みたいになっていますけども、もともと全然知り合いだったんですよ。ブライアン・メイとかとフレディ・マーキュリーは。で、一緒に住んでいたりしたこともあるのかな?そのぐらい、全然超仲がよくて。で、フレディが最初はバンドメンバーじゃなかったんだけど、言うことがいちいち的確で…みたいなのとか。

そんなような経緯もそうですし。あとこれ、複数の音楽評論家の人とかいろんな人が、それぞれ「この時期はこうだった、この時期はこうだった…」って、結構それぞれみなさん、意見にちょっとずつズレがあって。「この時期はあんまりよくなかったよね」っていう人もいれば、「いや、これはすごくクイーンらしくていい時期だった」って言う人もいたりとか。

あとは実際にギターを持って「このリフのどこがすごいのか?」みたいなことを説明しながらやってくれるところとかがあって。「ここはブルースコードなんだけど、ここのところでこういうコードが入るのが特殊だし難しいんだ」みたいなことをやっていて。で、「フレディの作曲方法とブライアン・メイのやり方の違いがあるから、この感じが出るんだ」みたいな。僕的には「ああ、そうなんだ」っていう学びがあって、非常にここは勉強になるあたりでした。なので、まずは『クイーン ヒストリー 1973-1980』。本当に直接的な関連作として、ご覧になってみてはいかがでしょうか?

あとは、音楽グループを続ける難しさっていうか。やっぱりクイーンも、あの映画で途中、フレディがソロに転じて。要するにいったん不仲になっちゃって。やっぱりそのスター選手がいて…まあでもクイーンは全員がスタープレイヤーなんだけど…その足並みが揃わなくなって、不仲になって。普通はそこで解散とかしてしまいがちなんだけど、みたいなところで。やっぱりグループを円満に続けるって、なかなか難しいんですよね。どれだけ成功したグループでも。

という一例として、ジャンルは全然違うんですが…あと、評の中で「やっぱり長く続けてきたラップグループとして、自分たちライムスターは」みたいな話をしたんですけど。そういう意味でも、ちょっとジャンルは違うんですけど、ア・トライブ・コールド・クエストという、僕も大好きだったラップグループがいて。「だった」っていう言い方をしているのは、もうメンバーのひとりが死んじゃって。これから紹介する2011年の『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~』というドキュメンタリー。これを紹介しようと思うんですが。

この後に、メンバーが死んじゃうんで、もういまではやれなくなっちゃっているんですけども。やっぱりね、途中でメンバーがめちゃめちゃ不仲になってしまうわけですよ。なんだけども、あるメンバーがすごく重大な病気になったということを知って、もう1回集まるようになって…本当に、ちょっとびっくりするぐらい、「ああ、こんなだったんだ」っていうぐらい険悪な感じになっちゃうんだけど、もう1回、再結成ライブをやろうっていうことになって。その再結成ライブのリハーサルをしているところが、このドキュメンタリーのラストなんですよ。

ここ、ぜひみなさん、ここのね、最初は距離が…まだちょっとお互いにぎこちないんです。ひさしぶりに会っているから。で、リハーサルを始めて、なんか言葉もなくて。あんまりいい空気じゃないのかな?っていう感じなんだけど、それがビートを鳴らして、「さあ、練習を始めようぜ」ってなった時からの、次第に「おおっ…!グループ…!グループっていいなー!」っていうね、結末が。それがまたね。あ、ちなみにトライブのメンバーのアリ・シャヒードさんは、このアトロクのライブコーナーにゲストで来てくれたりしましたね。

あともう1本。僕の評の中でも言いましたが、今回の『ボヘミアン・ラプソディ』、めちゃめちゃ制作が紆余曲折あって。主演候補とかもいっぱい変わって。なおかつ、撮影開始してから、なんと一旦は監督に就任していたブライアン・シンガーさんが、ちょうど今時分ですよ。去年の今頃じゃないですか?11月の第四木曜日の感謝祭の休暇があって、そこから撮影現場に帰ってこないっていう(笑)。「撮影現場に帰ってこない!」っていうことになって。それで大騒ぎになり。で、撮影監督の人がとりあえず仮で代行で現場を進めていたりとか。で、ブライアン・シンガーは当然クビになっちゃって、みたいなくだりを説明しましたけども。

その代わりに監督として呼ばれたというか、呼び戻されてきたのが、途中までこの『ボヘミアン・ラプソディ』の制作にかかわっていたデクスター・フレッチャーさんという方。この方はもともと、イギリスの俳優の方なんですが。まあ、監督もする。で、最後まで仕上げたということで。実質ね、たぶん『ライヴエイド』のシーンの、頭のところの仕切りとかはブライアン・シンガーがやっていたのかもしれないけど…ただ仕上げにかかわっていないんだから。どうなんだろうね?やっぱりデクスター・フレッチャーさんの仕事というところが結構大きいんじゃないですか?クレジットは残っていないけど。

というあたりで、「監督」デクスター・フレッチャーさんの腕を知るという意味でぜひおすすめしたいのが、『イーグル・ジャンプ』という、これはこの番組にもお招きした芝山幹郎先生の『スポーツ映画トップ100』という文春新書から出ている本の中でも、堂々第39位に挙げられているスポーツ映画の傑作です。『イーグル・ジャンプ』という作品、これがまさにデクスター・フレッチャーさんの手がけた作品なので、彼の腕前とかを…これも実話ベースのアレンジであるという点では重なりますから。こちらなんか、参考になるんじゃないでしょうか。これも素晴らしい作品です。

さあ、といったあたりでこの3つにしておきましょう。

今週金曜、夜6時半からのムービーウォッチメン、課題作は…『ヘレディタリー/継承』です。ねえ。素晴らしい作品なんですけど、また見直すのが気が重い、っていうぐらいドスンと来るんですけどね(笑)。

 

■宇多丸推薦! 『ボヘミアン・ラプソディ』の次にU-NEXTで観るべき映画
  • 『クイーン ヒストリー 1973-1980』(ロブ・ジョンストーン監督/2005年)
  • 『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~』(マイケル・ラパポート監督/2011年)
  • 『イーグル・ジャンプ』(デクスター・フレッチャー監督/2016年)

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