【2018.11.26放送】『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』をもっと楽しむための課題映画3選!

【2018.11.26放送】『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』をもっと楽しむための課題映画3選!

宇多丸:
先週金曜日のムービーウォッチメンで扱いました、メキシコ麻薬カルテルとのおわりなき戦いを描いた傑作映画の続編、映画『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』をもっと楽しむための作品をご紹介いたします。

もうね、私もそうですけども、山本匠晃アナウンサーも大好物で。キャッキャキャッキャ、「なんでこんなに面白いかよ!」っつってね。はい。山本さんもものすごい盛り上がっておりました。僕も本当に大好きな作品、『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』。

で、関連作なんですけども、まずは当然、これは続編なんで。2015年の一作目『ボーダーライン』。もしご覧になったことがない方がいたら、ぜひこちらもご覧いただきたいと思います。監督はドゥニ・ヴィルヌーヴで、脚本は今回の『ソルジャーズ・デイ』も手がけているテイラー・シェリダン。いまアメリカでもっとも注目される作家のひとりでございます。で、音楽のヨハン・ヨハンソンさんは今年の頭に亡くなってしまったっていうのがあるんですけども、その弟子筋の方が今回の『ソルジャーズ・デイ』、継いでやっているんですけども。

この『ソルジャーズ・デイ』の評の中でも言いましたよね。今回の新しい方はご自分で音楽を独自で作られているんだけど、最後の最後になって、『The Beast』っていうね、『ボーダーライン』をすごく印象づけるテーマ曲みたいなのがグーッと流れ出すという、あのくだりも最高でした。ちなみに『ボーダーライン』の一作目に関しては、「ウィークエンド・シャッフル」時代に私、批評しておりまして。それの公式書き起こしがいまでも読めますので。こちらを参照してもらいつつでもいいですし。まあ、読んでから観るか、観てから読むか。わかりませんけども。さらに理解が深まるんじゃないかと思っております。こちらも文句なしの傑作でございます。『ボーダーライン』。『ソルジャーズ・デイ』とはだいぶテイストが違うんですけど、そこも含めて楽しめるんじゃないかと思います。

あとですね、今回の『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』の監督に、ドゥニ・ヴィルヌーヴに代わって抜擢されたイタリア人監督のステファノ・ソッリマさんという方。この方が過去に撮られた作品で、『暗黒街』という作品、ぜひこちらも観てください。これを観れば、もちろんドゥニ・ヴィルヌーヴはもうかなり巨匠っていう感じになっておりますが、その代わりに抜擢されるのも納得という、さすがの冴えを見せる作品。

これは大まかにどういう話かっていうと、2011年にベルルスコーニ首相が退陣して、政権の空白ができた。そこでいろんな政治の動きがある中で、ピッポっていうひとりの政治家がいて、この人がある街にカジノを開くっていう法案を通そうとしている。で、その一方で彼はすごく漁色家で、売春婦とかを呼んで夜な夜な遊んだりしているんですけど、その売春婦を呼んだ時に、ある思わぬトラブルが起こってしまって。

で、ちょっと黒い社会の手を借りてしまうわけですね。で、その弱みにつけ込んで、こっち側の勢力がやってくる。で、その勢力を抑え込むためにまた別の黒い勢力に頼む。そうするとこっちに借りができて、いろんなことをしなきゃいけなくなる…っていうことで、事態がどんどんどんどん泥沼に入っていく。で、その間で、地を這うように生きる人たち、要は弱者たちが、ものすごい暴力と権力に虐げられるようになっていく。これが法治国家か?っていうようなことがいっぱい起きてくる。

なんだけど、これは今回の『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』が、一作目の『ボーダーライン』との大きな違いとして、結構「熱い」んですよね。最終的に、泥沼で生きているような人たちでも、やっぱり一分の魂があるんだ、クズ野郎にも一分の魂、一分の意地があるんだ!っていうのが、今回の『ソルジャーズ・デイ』のエンターテイメント性にもなっているんだけど。この『暗黒街』も、もうね、下の下の連中の、下の下の、もう最低最悪の、グッチョグチョのドロドロにバイオレントなんだけど、最後の最後で意地を見せる、この熱さ!みたいなのに、ちょっとグッと来る。だから、今回のに抜擢されたのは納得だな、っていう一作だったりしますね。

あともう1個、こちらも僕、以前映画評でやりました。リドリー・スコットの『悪の法則』という作品。こちら、評の中でメキシコ麻薬戦争を扱った作品の一例として挙げています。これはね、どちらかというと一作目の『ボーダーライン』のスタンスに近い。要するにメキシコ麻薬戦争という、現実にはもう手に負えない事態に対して、主人公イコール観客の視点っていうのは、本当にごく一部…要するに「我々はなにもわかっていない、ということしか、わからない」っていうような、ちょっとクールな距離感を置いたような作りになっていて。

特にこの『悪の法則』っていうのは、前半部、なにも起こっていないように見えるんですけど、前半部がなにも起こっていないように見えるのは、実はマイケル・ファスベンダー演じる主人公、通称カウンセラーと言われる役柄がなにもわかっていなかったのと同じように……っていうのが後半からどんどんと明らかになってくるような、気付かされるような作り。僕はもう『悪の法則』、とんでもない大傑作だと思ってますけど。ただなかなか、観て面白みがわかるのに、ちょっとひとつコツがいる作品ではあるんですけど。『悪の法則』、こちらもメキシコ麻薬戦争物としておすすめしておきたいと思います。

あの、どういう風な作品か?っていう解説は私の……これはね、公式書き起こしをまだしていない頃で。まあ、どっかで聞けると思うんでね。探して聞いてください(笑)。そんな感じで、以上3本に今週はしておきましょう。

そして来週金曜、夜6時半からのムービーウォッチメン、ガチャが当たって決まった課題作は『ボヘミアン・ラプソディ』です。

 

■宇多丸推薦! 『ボーダーライン ソルジャーズデイ』の次にU-NEXTで観るべき映画

  • 『ボーダーライン』(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督/2015年)
  • 『暗黒街』(ステファノ・ソッリマ監督/2015年)
  • 『悪の法則』(リドリー・スコット監督/2013年)
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