【2018.11.05放送】『デス・ウィッシュ』をもっと楽しむための課題映画3選!

【2018.11.05放送】『デス・ウィッシュ』をもっと楽しむための課題映画3選!

宇多丸:
先週金曜のムービーウォッチメンで扱ったのは、イーライ・ロス監督、ブルース・ウィリス主演。1974年のチャールズ・ブロンソン主演『狼よさらば』と同じ原作…というか、リメイク。『デス・ウィッシュ』という映画をもっと楽しむための作品をいくつかご紹介したいと思います。

まずはですね、いま言いました、チャールズ・ブロンソンの(邦題)『狼よさらば』。原作は、まさに『デス・ウィッシュ』というタイトルで、ブライアン・ガーフィールドというアメリカの小説家の方が、1972年に発表した小説なんですね。

で、評の中でも言いましたけど、ブライアン・ガーフィールドさん自身は、映画版の大ヒットによって、主人公のいわゆる自警団行為、ビジランテ行為…要するに、法の力を借りずに自分の手で暴力をふるって、復讐なり悪党成敗みたいなものをしてしまうという、いかにもアメリカ的な発想は、決して、『狼よさらば』という映画自体も、そして『デス・ウィッシュ』という小説自体も、それを全面的に肯定的に描いているわけではないんですね。

チャールズ・ブロンソンも、完全にサイコホラーというか、サイコキラー化してしまっている、というのを怖い感じで描いているんだけど、大ヒットして、その主人公の行動が英雄視されることに対して、原作者自身は非常に危機感を抱かれた。そして、続編小説を書くんですね。『デス・センテンス』っていう。で、その続編小説では模倣犯が出てきたりして、自分の行動でより世の中が変なことになってきちゃうっていうことを描いていて。その模倣犯が出てくるという展開は、今回のブルース・ウィリスの『デス・ウィッシュ』の方にも入っているんです。

で、この『デス・センテンス』という続編を映画化した作品、それが2007年のジェームズ・ワン監督の『ソウ』シリーズとか『ワイルド・スピード』シリーズとかでもおなじみですけども…『狼の死刑宣告』という日本タイトルがついています。

ただこれ、映画化された内容そのものは、いま言った内容からはだいぶアレンジされておりまして。これはもう、とにかく素晴らしい作品で。ケビン・ベーコンがね、普通の真面目なお父さんで、やっぱり息子さんをチンピラに殺されてしまうわけです。なんだけど、裁判をやっても大した刑がつかないということがわかり、非常に絶望的な気持ちになって、うっかり自ら処刑をしてしまうわけです。自分の手で。

なんだけど、そのことによって、今度はギャングから仕返しされたり、余計にひどいことを招いていく。だから、その原作小説のイズムっていうのは、ちゃんとこの『狼の死刑宣告』には入っているし。ぜひこの作品に注目していただきたいのは、中盤の、あっと驚くワンカットシーン。これ、ジェームズ・ワンはいまでこそ大作映画を撮っていますけども…今度『アクアマン』とかもやりますけども…この作品の時は、まだまだ低予算映画なんですね。全然お金をかけられない映画。なおかつ、いわゆるCGとか、そういうコンピューター編集みたいなのは一切せずに、本当にアナログな、実はびっくりする方法で、ワンカットの画面を撮っている。これはめちゃめちゃ素晴らしい。僕は大好きなこの『狼の死刑宣告』という作品、ぜひ。これ、ご覧ください。

あとですね、やっぱりイーライ・ロス監督。最近だと『ルイスと不思議の時計』とか、ファンタジー物もやってますが…でも、あれも実は非常に、悪趣味テイストとかは入っていたりするんですけど。いままでは、わりとバッドテイストなホラー映画というか、ジャンル物みたいなものを撮る監督として知られてきた感じなんですが。まあ代表作のひとつと言っていいでしょう、たとえば2013年の『グリーン・インフェルノ』。これはいわゆる、1970年代から80年代にかけて一大ジャンルとなった「食人族物」という、要するに未開の地で人間を食べたりするような風習がある部族がいる、というようなことをドキュメンタリー風に描くジャンルで。で、それって今だと非常に際どいじゃないですか、そのテーマって。

なんだけど、その際どい、PC(ポリティカル・コレクトネス)※ 的にどうなんだ?っていうテーマを、イーライ・ロスはちゃんと現代文明批評に…たとえばSNS世代のすごい軽薄な感じとか、そういうところをちゃんと批評する視線を持ってしっかり描いた、素晴らしい作品です、『グリーン・インフェルノ』。

※PC(ポリティカル・コレクトネス):アメリカで、性・民族・宗教などによる差別や偏見、またそれに基づく社会制度・言語表現は、是正すべきとする考え方。

それに続く2015年の『ノック・ノック』。こちらはキアヌ・リーブスが主演ですけど、これは1977年の『メイク・アップ』という…要するにある1人の男のところに、謎の美女2人が訪ねてきて。「3Pしない?」なんつって誘惑してくるわけですよ(笑)。

でもやっぱりいい女だし、いろいろあって誘惑に落ちて、ヤッちゃうんですよ。そしたらその2人が、いつまでたっても家から帰ってくれないで、家の中で嫌がらせの限りを尽くす!っていう、地獄のような思いをする作品なんですね。で、その『メイク・アップ』っていう作品は、ラストが衝撃なんだけど…それはすごいB級ホラーの、カルト的人気がある作品なんだけど、それがまさかのキアヌ・リーブス主演で2015年にリメイク!という作品。こちら、ロレンツァ・イッツォさんっていう、『グリーン・インフェルノ』にも出ているイーライ・ロスの奥さんと、あともう1人、アナ・デ・アルマスさんっていう方、こちらは『ブレードランナー2049』で、あのすごいきれいな女の人、ジョイを演じていた方。

これがめちゃめちゃ、またね、こんな2人に誘惑されたら、そりゃあ…(笑)っていうね。でもまたひどい目にあって、という。これもイーライ・ロスの手腕が非常に楽しめる1本。こちらもぜひご覧ください。この3本にしておきましょう。

そして今週金曜、夜6時半からのムービーウォッチメン、課題作は『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』。タイ映画で非常に評判になっている作品でございます。

熊崎風斗アナ:
以上、「UTAMARU NEXT」のコーナーでした。

            

■宇多丸推薦! 『デス・ウィッシュ』の次にU-NEXTで観るべき映画

  • 『狼の死刑宣告』(ジェームズ・ワン監督/2007年)
  • 『グリーン・インフェルノ』(イーライ・ロス監督/2013年)
  • 『ノック・ノック』(イーライ・ロス監督/2015年)

まだU-NEXTに加入していない方は
宇多丸まずは31日間無料トライアル

現在配信中の作品

    Copyright © 2018 U-NEXT Co., Ltd. All Rights Reserved.